残雪期、5月の立山縦走
- 2022.05.26
- 登山紀行

夢にまで見た室堂は、
圧倒的なスケールの山天国だった!
あこがれの立山縦走の2日間は天気に恵まれ、
忘れられない思い出となった。
立山への起点となる扇沢ターミナルを出発し、
電気バスで「黒部ダム」へ。
そこから雄大な景色を眺めながらケーブルカー乗り場の
「黒部湖」まで徒歩で約15分。
グラスクリーンの湖面に映る山々がキレイだった。
扇沢⇒(電気バス)⇒黒部ダム⇒(徒歩)⇒黒部湖⇒(ケーブルカー)⇒黒部平⇒(ロープウェイ)⇒大観峰⇒(トロリーバス)⇒室堂





「黒部湖」からはケーブルカーに乗って急斜面を
駆けあがると「黒部平」だ。
そこからロープウェイで「大観峰」へ向かい、
最後にトロリーバスに乗って長いトンネルを
抜けると室堂だ。なんとこのバス、
雄山山頂の真下(約600m?)を通っているのだ。
そんなアナウンスを聞いていたら、
なんだかワクワクしてきて
バスの天井を見上げてしまった。


大観峰からトロリーバスに乗って約10分で室堂到着。
ターミナルは登山客や観光客で賑わい、
人気の観光地であることを実感した。
外に出ると、そこは一面真っ白な雪の世界。
5月とは思えない白銀の景色に感動する。
ついに来た、室堂!!! 周りを見渡すと、
雪をまとった峰々が僕たちを出迎えていた。


広くて真っ白い室堂平はとても気持ちがよかった。
サングラスをしていないと
目を開けていられないほど眩しい。
宿泊予定の立山室堂山荘へと向かう道は
トレースが付き迷うことはないので安心だ。


旅館のような室堂山荘。
浄土山からの絶景に思わず笑みが!
立山室堂山荘にチェックインし友人と部屋でひと休み。
個室を予約したが、
まるで旅館のような佇まいに驚いてしまった。
ここが山小屋なのか・・・。
座卓や座布団もあり、暖房まで備えている。
おまけにタオルと歯磨きセットまで付いていた。
(個室2名利用・1泊2食13,750円)


食堂でカレーライスを食べて休憩した後、
浄土山まで行ってみることにした。
ゆるい登りを40分ほど歩くと展望台に到着。
薬師岳や赤牛岳を一望できる
素晴らしい景色に思わず笑みがこぼれる。
その先にトレースがあるので進んでいくが、
途中でGPSを確認するとルートから外れている。
一旦もどり、別のトレースを辿りながら登るが、
途中からトレースはなくなりハイマツ帯に。
雪に覆われたハイマツの上を四つん這いになりながら
登るが、アイゼンが絡みなかなか進まない。
このルートもあきらめて戻る。
また別のトレースをGPSで追いながら
なんとか山頂に着いた。
山頂から雪化粧をした峰々がはるか遠くの方まで続き、
その圧倒的な迫力に僕たちは心が震えた。
友人とともに、この感動を分かち合えたことは嬉しい。
立山は霊山信仰が深い山域である。
いわゆる立山三山とは、浄土山・雄山・別山であり、
◆阿弥陀「過去」・・・浄土山
◆釈迦「現在」・・・・雄山
◆弥勒「未来」・・・・別山
の三世諸仏にたとえられる。
また、立山三山や剱岳などから立体的な
立山曼荼羅を形成し、精神的な信仰世界を
体現させているとも言われている。






昼過ぎに室堂山荘を出発し、浄土山、一ノ越と、
反時計回りに周回して戻ったのが3時半を回っていた。
ちょっと散歩程度に考えていたら、
アクティブな運動になってしまった。
汗もかいたことだし、浴場へ向かう。
山小屋とは思えない広い浴槽にびっくり。
洗い場も清潔でシャワーも完備。
シャンプーやボディソープもあり、
脱衣場にはドライヤーまで。
まるで旅館のお風呂のようだ。

ひと風呂浴びてすっきりした後はビールタイム。
モンベル会員証を見せると、
缶ビール350ml缶(350円)が1本もらえる。
6時の夕食までのひととき。
山小屋で呑みながら過ごすこの時間が好きだ。
友人と語らい、山の話から始まり仕事の話や家族の話、
酔いが回ってくるとこれからの人生についてなど、
会話は尽きない。夕食時は大きな海老が入った
サクサクのミックスフライを肴に、
焼酎をぐいっといただく。
呑む、呑む、呑む。食べる。食べる。食べる。
お腹も心も満たされて部屋に戻ると、一気に睡魔が。
消灯の9時を待たずに、眠りにつき今日を終えた。







空と山と太陽が一体化する縦走路、
あまりにも広く美しかった!

朝7:00室堂山荘をスタート。
一ノ越山荘までの道はゆるやかな登りから始まり、
山荘手前ではけっこう急な登り道だった。
ひと息つくと、雄山への険しい登りが見える。
昨日に比べて澄んだ青空ではないが、天気は悪くない。
しかし強風が吹き荒れ、この先が思いやられる。
雄山山頂へは岩と雪のミックス。
アイゼンを岩に引っ掛けないように気を使いながら
一歩一歩標高を上げる。
ピッケルを打ち込み力を込める。
足を浮かせて次の岩へ。
ゆっくりでも確実に進んでいることを確認し胸が弾む。
全身を使って登る岩登りはやはり楽しい。
山頂も強風で友人との会話もひと苦労だ。
大汝山への縦走ルートを確認し
進むかどうかを検討する。
風に煽られながらもトレースのある道を行くと、
向こうから登山者がやってくる。
「この先の縦走路はどんな感じですか?」
そう尋ねると、
「大丈夫です。危険な箇所もなく
普通に行けるはずです」との返事。
安心して、歩を進める。
稜線はひたすら風に悩まされた。
油断をするとカラダが持っていかれるので、
踏ん張ったり岩に掴ったりしなくてはならないので、
体力も消耗する。
大汝山からは黒部湖が見えた。
昨日、大観峰からはここが見えたんだ。
シュカブラや雪庇といった雪と風の織りなす芸術作品を
あちらこちらで鑑賞しながら、爆風の縦走を続ける。
再び、対向者とすれ違った。
「雄山まではどんな感じですか?」
「もうすぐですよ。危険箇所もとくにありません」
僕が答えると、彼は言った。
「そうですか。もうすぐですか。
何か寂しいです。もう終わってしまうと思うと」
その気持ちがよく理解できた。
「そうですよね。ゆっくりと楽しんでください」
そんな言葉しかでなかった。
岩稜がそびえ立つ富士ノ折立の山頂までは登らず、
真砂岳を目指す。
先行者が縦走路を歩く姿が見える。美しい。
この道を僕たちも歩くことを思うと、
またまたワクワクしてくる。
歩きたいのに、歩くのがもったいない。
そんな気持ちにさせてくれる道だ。
こんな経験は、この道を歩いたものにしか
理解できないのかもしれない。
天空の縦走路。山々に囲まれた一本の細い道。
小さな小さな人間が蟻のように見える。
いつしか人は山の一部になったような、
そんな感覚に落ちる。不思議な体験だ。
別山に着いた。
平らな山頂からは手が届きそうな剱岳が見えた。
こんなにも近くで剱岳を見たのは初めてだった。
美しく険しく凛として佇むその姿に圧倒され、
爆風の中、しばらく見とれてしまった。























別山からは劔御前小舎経由で雷鳥坂を一気に下り、
雷鳥沢キャンプ場まで歩いた。
風もなくなり、太陽が近く陽に焼ける暑さだ。
ここから雷鳥荘までがかなりの急登。
縦走の後の最後の試練だった。
今度来るときは、逆回りにしたいと思った。
(別山から雄山を目指すルート)
午後2時、室堂ターミナルに到着し
今日の縦走を終えた。
2日間、友人と二人の山旅はとても楽しかった。
事前に下調べをしたとおりにいかないこともあったが、
見たこともない景色や感覚に心が震え、
都会では味わうことのできない体験ができたと思う。
知らない登山者の気持ちに触れ、共感し、
そんな細かいことが何だかすごく素敵な出来事で、
僕の心にポッと灯りを灯すのだ。
2022年5月3日(火祝)~4日(水祝) 天候:晴れ |
【Day1】立山室堂山荘~浄土山~一ノ越~立山室堂山荘 |
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ブログ立ち上げ、おめでとうございます。
きれいな山々ですね。
さぞかしビールが美味しかったでしょう。
これからも登山記事拝見させていただきます。
ありがとうございます!
どこまで続けられるかわからないけど
頑張ります!
応援よろしくお願いします。
ブログ発信おめでとう
圧巻の景色に感動。加え文章力にただただ感心‼️
これからも気を付けて多くの山にチャレンジしてください。亀
ありがとう!!
これからも楽しい山行を綴りたいと思います。
よろしくお願いします。